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どんどこ団では、一般社団法人 全日本知的障がい者スポーツ協会(ANISA)様を通じて、障がいのある若手アスリートの挑戦を応援しています。
彼らが安心して夢を追えるよう、継続的な支援と環境づくりに力を注いでいます。
今回は、その活動の中で輝く地白光佑選手をご紹介します。

“やりたい!”から始まった夢
2才半で広汎性発達障害と診断された光佑選手。卓球との出会いは、2016年のリオ五輪。8歳のとき水谷隼選手の活躍に感動し、「やりたい!」と母に直談判。最初は一時的な熱かと思われたが、年明けにもう一度訴えたことで本気だと伝わり、卓球ができる場所を探すことに。出会った三重県津市の松生卓球道場で彼はすぐに集中し、卓球の世界にのめりこんでいった。

家族と道場の支え
初めは身体の動きもおぼつかず、週1の練習では追いつけない。そこでお母様が球出し役を買って出て、練習を週2に増やす工夫を。道場の松生館長も彼の個性を尊重し、独特なスタイルを“武器”として育てた。今では家族全員が卓球に関わり、寄り添いながら応援を続けている。

どんどこ団のサポート
「練習でお金がもらえるなんて……最初は信じられなかった」と、お母様は笑顔で語る。
今では遠征費の負担が軽くなり、名古屋や京都への月数回の練習や、九州・神奈川といった遠方の試合にも積極的に参加できるようになった。卓球シューズは1〜2ヶ月で消耗してしまい、ラケットやラバーなどの用具代も、決して小さな負担ではない。そうした出費をまかなえることも、大きな支えとなっている。
また、自主トレーニングのためにジムにも気兼ねなく通えるようになり、アスリートとしての意識や姿勢にも磨きがかかってきた。Webニュースなどに取り上げられる機会も増え、最近では自然な笑顔があふれるように。
どんどこ団の支援を受けてからの成績
- 令和7年
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三重県教育委員会 優秀選手賞
三重県障害者スポーツ協会 三重県障がい者スポーツ 奨励賞
九州知的障がい者卓球大会 準優勝
第75回三重県高校総合体育大会(定時制通信制の部) 卓球競技の部 団体優勝 個人 準優勝
第44回東海障害者卓球大会 知的障害男子団体の部 優勝
第44回東海障害者卓球大会 知的障害男子個人の部 3位
パラIDジャパンチャンピオンシップ卓球大会2025 男子ダブルスの部 準優勝
男子シングルスの部 12位
全国高等学校定時制通信制体育大会 第58回卓球大会 団体の部 優勝
個人の部 準優勝
苦しいけど勝つことより楽しいことはない
2016年リオ五輪での水谷隼選手のプレーに感銘を受け、卓球を始めた地白光佑選手。高いレベルの道場に最初は戸惑いながらも、集中力と家族の支えを糧に着実に成長を遂げました。
松生卓球道場の館長は、彼の“粒高ラバー”を活かした独自のプレースタイルを高く評価し、個性を尊重した指導を継続。競技力の向上とともに、アスリートとしての意識も芽生え、食事管理にも積極的に取り組むようになりました。たんぱく質やビタミンの摂取を意識し、糖分のコントロールも自ら行っています。
「どんどこ団」の支援により遠征の負担が軽減され、より高度な練習環境への挑戦が可能に。「練習=仕事」として認識される仕組みに、安心と信頼を感じているそうです。お母様は、発達障害のある子どもは一般的にコミュニケーションが難しいケースが多いと心配していましたが、光佑選手は卓球を通じて多くの人と関わることができており、その姿に安心していると語ります。
「苦しこともあるけど、勝つことより楽しいことはない。」
そう語る光佑選手の視線は、次の一球を見据えてまっすぐに前を向いています。